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馬の骨でも考える/Even a Nobody Thinks…

『権利/義務』が外部フローだけに現れる理由とは

Posted on 2024-08-052024-08-05

BSから見える『お金のしくみ』
★Ⅰ.馬の骨でもわかる『BSのしくみ』
  【3】資産増減の類型

    5.外部フローにしか現れない『権利/義務』 <★★★今回はココ★★★>
★Ⅱ.馬の骨でもわかる『お金のしくみ』
★Ⅲ.BSから見える『財政破綻とは何か?』
★Ⅳ.BSから見える『成長とは何か?』

★目次
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

前回まで、「Ⅰ.【3】資産増減の類型」として、「ストック/フロー」x「単体/相対」のマトリックスでは大きく4つのカテゴリーがあり、その中に8つの類型があることを見てきました。以下がその概要です。

今日はこの中で、【4】外部フローに限って、すなわち『相対関係』の中で『フローが循環する』場合に限って、『権利/義務』が存在しており、これが特徴的な働きをしていることを見てみます。

『権利/義務』は、外部フロー以外では登場しませんが、これは今後、『貨幣のしくみ』を見ていくにあたって極めて重要なポイントです。貨幣のしくみにおいて、『外部フロー』、及び、『権利/義務』が果たす重要な役割を今後より良く理解していくため、今回は、『権利/義務』について少し掘り下げて見てみることにします。

Ⅰ.【3】5.外部フローにしか現れない『権利/義務』

権利/義務の特徴として、最低限、まず以下の二つのことが言えます(※1)。

❶ 権利者と義務者が別々に存在しないと成立しない。即ち、相対関係が無いと成立しない。
❷ 権利義務は一定の期間(権利義務の発生から解消まで)を伴って存在し続ける。

❶x❷はつまり『フロー(一定期間)x相対関係』となっており、外部フローの要件となることがわかります。すなわち、権利/義務は外部フローでのみ発生することが見て取れます。

外部フロー類型別の権利/義務

外部フローには、以下の通り『貸借フロー』と、『投資フロー』があることは既に見てきました。

貸借フロー、投資フローでは、権利/義務が登場するのですが、まずそれぞれについての権利義務の登場の仕方を見てみることにします。

★貸借フロー

ここでは、資産の借手と貸手の相対関係を前提に見ることにします。借手は、『資産A』を持っていないので他の誰かから借用して使用したい、一方、貸手は『資産A』を持っているが現在使用していないので他者に貸し出して貸与収益を得たい、という相対関係にあるとします。

まず、貸手が借手に資産Aを貸与します、つまり、資産Aが貸手から借手に移動します。(フロー開始)

すると、それと同時に、権利/義務が発生します。つまり、借手には借入債務が発生し、貸手には貸付債権が発生します。

ここで、借入債務は、①借用した資産Aを約束通りに後日返却する、②借用に対する費用を貸手に支払う、という二つの義務(債務)であり、また、貸付債権は、①資産Aを約束通りに後日返却してもらう、②貸付に対する費用を借手から貰うという二つの権利(債権)を意味します。

この権利義務関係は、フローが終了するまで、つまり義務が果たされて権利が解消するまで継続します。

ここまでを表したイメージは以下の通りです。

その後、貸借の終了を迎える際には、借手が資産Aの返却及び借用費用の支払いを完了することで、権利義務が解消、フローが終了します。貸手から見ると、資産をフローから回収していることになります。

上記を表したイメージは以下の通りです。(但し、以下の図では、借用費用の支払い部分の記載は含んでいません)

上記の流れを俯瞰して見ると、貸借(資産Aの貸手から借手への移動)に伴い、相対関係にある貸手・借手双方に、貸手には権利(貸付債権)が、借手には義務(借入債務)が同時に発生(増加)し、その後、資産Aの借手から貸手への返却(貸借解消)により、発生(増加)した権利/義務が同時に消滅(減少)します。つまり、増加前の元通りに戻ります(但し、貸借の対価(費用)の支払い分だけ、借手資産は減少、貸手資産は増加します)。

この、権利/義務が同時に発生/同時に消滅することを、今後、『対生成/対消滅』と呼ぶことにします。追って貨幣、特に信用貨幣をBSを通して見ていくときに、この対生成/対消滅は極めて重要な概念になります。『対生成/対消滅』については、次回、もう少し詳しく見てみることにします。

★投資フロー

投資フローでも権利/義務の対生成/対消滅が見られます。それを『出資』を例に見てみます。

事業を始めたいが資金が無いので他者の出資を募りたい事業者(以下の図では『出資先』の表記)と、資金があって事業投資をすることで自己資産の増加を図りたい投資家(以下の図では『株主』の表記)がいたとします。

株主が出資先に出資を実施すると、株主がもっていた資金が出資先に移動します。移動した資金は資本金に繰り入れされ、事業が開始されます。それと同時に、出資先は株主宛てに株式を発行します。

株主が持っている株式は出資先に対する『権利』として、出資先の資本金(の源泉である発行済株式)は株主に対する『義務』として、同時に発生します。

株主の権利は、配当を受け取ることや、議決権を行使できる場合は議決権を行使したりすることで、また、出資先の義務は、株主の権利の裏返しとして、通常は現れます。

この権利/義務関係は、出資先が株式を買い戻すまで、継続します。自社株買戻しにより権利義務が対消滅するイメージは以下です。

貸借フローと投資フローにおいて、権利/義務がどのように登場/退場するのかを見てみましたが、権利義務が対生成/対消滅する点では共通してることがわかります。

一方、この投資フローと貸借フローの違いは、何でしょうか?それは、フローが終了する(投入した資産が回収される)ことを前提としているか、否か、に表れていると言えます。

どういうことかと言うと、まず貸借は、貸与資産が期間を決めて返却されることが前提とされていることが多い、つまり、貸借フローは基本的にフローが終了することを前提としていると言えます。

一方、投資フローにおける出資の様な場合は、株主は出資先に株式を買い戻してもらうこと(投資を回収してフローを終了すること)を強要することは基本的にはできませんので、投資フローは基本的にフローが継続することを前提としている、と言えます。

『売買』にみられる『貸借フロー』

えっ?『売買』が『貸借』なの?と驚いたかもしれません。でも、『売買』においても、『貸借フロー』と同じ現象、つまり、権利/義務の対生成/対消滅が見られることがあるので、そのことを説明します。

今後、資産の類型(資産増減の類型から考える資産の類型のことです)を考えるにあたり、この点を明らかにしておかねばならない事情があるため、ここでそれを見ておくことにします。

皆さんは、売買するとき、つまりある物を買うときに、お金を払いますね、言い換えると、買うものとお金を『交換』していますよね。

『交換』は、資産増減の類型では「【Ⅱ】ストック間移動 ②交換」であることは既に見た通りです。

例えば、おにぎりを買う場合で考えてみましょう。

★同時交換

自分の資産(お金)と相手の資産(おにぎり)が同時に相手方に渡される場合、つまり、同時交換(Cash on Delivery)の場合には、瞬時に自分と相手の資産が入れ替わって、トランザクションが終了します。

これをイメージで表すと、以下の様になります。資産Aがお金(自分)、資産Bがおにぎり(相手)ですね。お金とおにぎりが同時に逆方向に移動します。

つまり、同時交換は、ストックが瞬時に入れ替わり、フロー投入は発生しません。

★時間差交換

一方、売買においては、「掛け売り(買い)」、つまり、「代金後払い(先払い)」という方法が存在します。つまり、同時交換ではなく、一方の資産が先に移動し、一定の期間の後、他方の資産が逆方向に移動するケースです。

代金後払い(製品先渡し)でおにぎりを買う場合で考えてみます。まずおにぎり屋さんに注文し、おにぎり屋さんが自宅におにぎりを届けてくれるとします。おにぎりの代金はその日・その場では払わず、例えば翌月におにぎり屋さんに振り込む、というような形になることですね。

これを図に表すと、以下の様になります。まず、おにぎりの先渡しをしてもらうところまでは以下の通りです。販売者がおにぎり屋さん、製品がおにぎり、購買者が自分ですね。

自分(購買者)は、おにぎりを手に入れると同時に、仕入債務(おにぎり代金をおにぎり屋さんに支払う義務)が発生します。おにぎり屋さん(販売者)は、おにぎりを渡すと同時に、売上債権(おにぎり代を受取る権利)が発生します。販売者と購買者の相対関係の中で、権利と義務が対生成しています。

次に、代金を支払うときのイメージを以下に示します。

自分は代金を支払う(債務履行)ことで仕入債務が消滅、おにぎり屋さんは代金を受け取ることで売上債権が消滅します。権利と義務(売上債権と仕入債務)が対消滅しています。

上記は代金後払い(製品先渡し)の場合ですが、逆の代金先払い(製品後渡し)の場合のイメージも以下に供します。

代金先払いで権利義務が対生成、製品後渡しで権利義務が対消滅するのは、同じ構造であることが見て取れます。

また、時間差購買により発生した権利義務は、一定期間の後にそれが消滅することが決まっています。つまり、投資フローの類型ではなく、貸借フローの類型と同じであると言えます。先払いで代金を受け取った側は、一定の期間の後(期日まで)に必ず製品を引渡す義務がありますし、逆の場合(製品先渡し)も同様に、一定期間の後にフローが閉じることが決まっていることから、そのことが見て取れます。

以上、『時間差交換』の場合に、権利/義務(債権/債務)、つまり、貸し/借りが発生する、すなわち、売買あるいは交換の場合でも、『貸借フロー』と同じ類型が発生する場合があることがわかりました。買ったものの代金を後払いするということは、購入代金を借りている状態になり、購入代金を後で支払うことは、借りていたお金(購入代金)を返すのと同じ状態になる、つまり貸借フローと同様の類型であると捉えることができます。

共通する【『権利/義務』の『対生成/対消滅』】

ここまで書いてきたことから、『貸借フロー』『投資フロー』、及び貸借フローの性格を帯びている『時間差交換』では、『権利/義務が対生成/対消滅する』という点が共通している、と言えることがわかります。

権利/義務の対生成/対消滅の共通したイメージを改めて確認すると以下の通りです。

相対関係においてフローの期初で資産が移動することにより、権利/義務が対生成する。その後、フローの期末で、期初とは逆方向に資産が移動する(戻る)ことにより、権利/義務が対消滅します。

この共通の動きを、ここまで見てきた『貸借フロー』『投資フロー』『時間差交換(先払い/後払い)』の動きと並べて、その共通性を確認して見ます。

★貸借フロー

★投資フロー

★時間差交換(先払い)

★時間差交換(後払い)

以上、今日は、資産を外部フロー(貸借フロー/投資フロー)投入することで、権利/義務が発生して、それが外部フローを循環させ、資産回収されることを見てきました。外部フローで資産を循環させるには、権利/義務の働きが欠かせない、ということがわかります。

今回は権利/義務の対生成/対消滅についてBSのしくみは使わずに大括りの資産の動きと並べて説明してきましたが、次回は、権利/義務の『対生成/対消滅』が、BSのしくみの中でどのように機能しているのか、BSの貸方/借方の枠組みと共にもう少し詳しく見てみたいと思います。

それでは。

★Ⅰ.【3】資産増減の類型

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

(補足)

※1 ここでは、『相対関係』の中で対生成する『権利/義務』における権利、つまり『相対的権利』について述べています。イギリスの法哲学者・ハーバート・ハートはその著作『法の概念』において、『権利』の性質を多角的に分析し、相対的権利の他に、誰に対しても普遍的に主張できる『絶対的権利』(例えば、人権や所有権など)があることも述べているそうです。
https://chatgpt.com/share/6235dafc-9788-4cf9-b2b2-6cd822c3d4fe

今回は『絶対的権利』については深入りしませんが、今後、機会を見て取り上げてみたいと思います。

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2 thoughts on “『権利/義務』が外部フローだけに現れる理由とは”

  1. ピンバック: 相対関係から資産を増加させる『対生成』とは – 馬の骨でも考える
  2. ピンバック: 資産実現時期を示す『ストック/フロー』 – 馬の骨でも考える

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