BSから見える『お金のしくみ』
★Ⅰ.馬の骨でもわかる『BSのしくみ』
★Ⅱ.馬の骨でもわかる『お金のしくみ』
【2】貨幣の類型 <★★★今回はココ★★★>
★Ⅲ.BSから見える『財政破綻とは何か?』
★Ⅳ.BSから見える『成長とは何か?』
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『Ⅱ.【2】貨幣の類型』については、目次ページにイメージを掲載するのみとしていましたが、『Ⅱ.【3】貨幣発行の類型』の論稿を検討中に再考し、再定義が必要と考えたため、今回投稿することにします。
貨幣にはさまざまな分類方法がありますが、本稿では、価値の保証の仕組みと物理的な存在形式に着目し、 1)法定/法定外、2)兌換資産との関係性、3)物理的存在形式 、4)蓄積/権利の4つの切り口で整理します。
法定貨幣/法定外貨幣
まず、一番大きなフレームとしては、法定貨幣か、法定外貨幣か、という枠組みを設定します。本稿の主な目的は、法定貨幣に対して統合政府/民間市場が関与するしくみを明らかにすることですが、貨幣全体を正しく理解するには、法定外貨幣も視野に入れる必要があります。
法定貨幣 とは、国家が発行し、法律によって価値を保証された貨幣です。法定貨幣は、国家が税金の支払いや公式な取引手段として認めることで、その価値を確立します。
法定外貨幣 とは、国家ではなく、民間主体(企業・地域・個人など)が発行する貨幣です。発行者の信用や、交換の仕組みによって価値が保証されます。代表例として、地域通貨、暗号資産(仮想通貨)、企業のクーポン券などが挙げられます。
兌換資産との関係性
貨幣は「価値を持つもの」ですが、その価値の源泉が何かによって大きく性質が異なります。この価値の源泉(=兌換資産)との関係性に着目すると、貨幣は以下の3つに分類できます。
① 現物貨幣:兌換資産(の価値)自体が貨幣であるもの
② 兌換貨幣:価値の源泉たる兌換資産があるが、貨幣の存在は兌換資産から独立しているもの
③ 信用貨幣:兌換資産がなく、貨幣発行者が貨幣の価値を保証するもの
物理的存在形式
物理的存在形式は、貨幣の価値そのものとは関係ありませんが、貨幣が「どのような形で存在するか」を分類する視点です。現物(物理的実在)として存在する貨幣もあれば、データ管理によって存在する貨幣もあります。
蓄積/権利
ここまでの3つの分類は、貨幣の性質や機能に基づくものですが、蓄積/権利の切り口は、貨幣をBSの視点から分析する際に重要な概念です。
蓄積/権利・義務については、以下投稿を参照願います。
貨幣の分類をBSの視点から見ると、「すでに実現した価値」か「将来実現する価値」かという切り口で整理できます。
蓄積:すでに実現している価値(例:金貨)
権利:将来実現する価値(例:兌換紙幣、クーポン券)
例えば、金貨はそのものに価値があるため「蓄積」ですが、金兌換紙幣は金との交換を前提とした「権利」です。この違いを理解することで、貨幣の本質がより明確になります。
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以上の4つの視点をもとに、貨幣の類型を整理しました。最後に、これらを一覧表にまとめます。

今回は以上です。
それでは。
