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馬の骨でも考える/Even a Nobody Thinks…

【序文】著者の立ち位置

<この論考の前提>

これから著者は、価値・資産・貨幣・政府・市場といった、世界の大きな構造を扱う議論を進めていきます。

ただし本稿は、既存の学問体系(哲学・思想・経済学・政治学など)を前提とした専門的な議論ではありません。

著者の立ち位置はきわめてシンプルで、この論考は次の三つのツールだけを使って世界を読み解く試みです。


1.俯瞰(BEV)する姿勢

著者がもっとも大切にしているのは、世界を一度に説明しようとするのではなく、
まず一歩引いて “上から眺める” という俯瞰(Bird’s-Eye View)の姿勢です。

俯瞰とは、事象の細部に囚われず、関係の入り組み方や構造の立ち上がり方が自然に浮かび上がる距離をとることです。

俯瞰する姿勢は、専門的知識を前提とした分析ではありません。
むしろ、誰もが持ち得る “立ち位置” であり、
著者自身もこの視野から世界を観察することから論考を始めています。

そして、この俯瞰の視野の上で、次の「三つの視点」と「BS構造」は自然に作用しはじめます。


2.三つの視点

・虚構(Yuval Noah Harari:人が世界に意味を与える力)
・領域(Markus Gabriel:世界は対象領域の集合として成立する)
・関係(Carlo Rovelli:存在とは相互関係として現れる)

この三視点を“ものさし”として、世界の事象を俯瞰していきます。


3.BS(バランスシート)の基本構造

著者は会計・金融の専門家ではありません。しかし、BSという構造物は
「内側/外側」「自己/他者」「ストック/フロー」
といった、世界に通底する構造をもっともシンプルに表します。

本稿で扱うのは、BS の構造的特徴のうち次の三点だけです。

・借方と貸方は必ずバランスする
・貸方は「内発(自分のもの)」と「外発(他人のもの)」に分かれる
・記述対象は、ストック構造(自立構造)とフロー構造(依存構造)に分類できる


※専門知識との距離について

著者は哲学・思想・経済学などの体系的な知識を持っていません。
本稿はそれらの知識体系を前提にはしていませんし、参照もしていません。

むしろ、最小限のツール(上記1〜3)だけで世界を読み解くという立場の論考です。

その意味で、本稿は“専門分野の議論” ではなく、
世界をどう見るかという構造的視点の提案です。

そして同時に、本稿にはもう一つの小さな意図があります。
それは、特別な学問的訓練を受けたものだけでなく、
どんな立場の人であっても、
わずかな原点から世界を自分で読み解くことができる――
その、ごく単純でありながら見落とされがちな事実を確認することです。

著者自身もそのような立場から始めています。
だからこそ、本稿が読者にとっても、
「自分の目で世界を見るための道具」
となることを願っています。

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