=(10)失敗が書き換える『連立政権』ストーリー=
<目次> ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ・『選択』する側のジレンマ ・『選択』される側のストーリー ・ストーリーを書き換える優先順位 ・失敗がストーリーを書き換える ・それでも『選択』できるストーリーが良い ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
こんにちは。柳原孝太郎です。
東京オリンピックまで二週間を切ったこのタイミングで、新型コロナウィルスの感染再拡大に直面し、政府は4度目の緊急事態宣言と、東京オリンピックの原則無観客を決めました。
それ見たことかと指摘する向きも多いと思います。予想されていたドタバタ劇については、以下当方ブログ記事(7)でも書きましたが、やはりオリンピック開催カウントダウンの中での状況悪化という、開催国の国民にとっては最悪のストーリーが現実のものとして目の前に繰り広げられる様を見るのは、何ともやるせない思いがします。
数日後に本当にオリンピックが始まるのか実感のわかない人は当方ばかりではないと思いますが、東京オリンピックがどういうストーリーになったかは後日BEVしてみることにして、今日はオリンピックの後のことについて。オリンピックが終わると、衆議院選挙になります。
新型コロナと東京オリンピックが相乗効果で与党自民党にとっては大変厳しい選挙になるでしょうが、さすがに今の政府ではだめだろうと思っている人にとってはまたとないチャンスとなるはずです。ただ残念ながら、当方のみならず多くの人が、自分の貴重な一票をどう行使するか、頭を抱えているのではないでしょうか。それは、政権交代して欲しいと思っているものの、その受け皿となる『選択肢』が見当たらないためです。
選択する側のジレンマ
夫婦別姓という『選択肢』を持っている人の『選択権』を認めないのはなぜか、という観点で当方は以下ブログ(8)を書きました。
一方で、次の衆議院選挙に向けての悩みはこれとは逆で、選挙権という『選択権』はあるのに、現政権・与党自民党に代わる『選択肢』、次期政権の受け皿となる政党が見当たらないという問題に直面しています。
選挙も大事な『選択』を実行する機会ですが、貴重な機会を生かすには、自分で選択して投票したいと思う対象となる政治家なり政党がいなければなりません。現状、単独政党で政権をとれそうな野党が見当たらないことから野党連合で連立政権を組成するストーリーを書いて選挙に臨む姿を見せて欲しいのですが、なかなか本格化して動く姿が見えてきません。
次期政権のストーリーが見えない中で、政府与党に代わる選択肢としてどこの誰に投票をしたらよいのか、選択権を持っている当方は、選択肢が見当たらないジレンマに直面している状況なのです。
理想的には、ある政党に国政を任せてみたがうまくいかない場合に任せられる別の選択肢、他の有力政党が存在することが健全な民主主義を実現するには欠かせませんが、今の日本の現状では健全な民主主義の実行はなかなか実現しがたい状況になっています。
『選択』される側のストーリー
国民が選択肢を複数持ちたいと思っている中で、選択される側の政党はどういうストーリーを描いて国民に対峙しているのでしょうか。
政党は政治理念・政策という基本的なストーリーが基本的に同じ人が集まって集団を形成しているので、現政権を倒して政権を奪取したいと考えている野党は、現政権の政治理念・政策とは別のストーリーを国民に提示する必要があります。
政策と一言で言っても範囲は広く、国民の命と生活を守る福利厚生から、経済政策、外交安全保障、教育文化政策など多岐にわたり、それこそ様々なストーリー、政策の書き方があるので、様々な野党が乱立しているのが実態です。
そんな中で、野党の政党が政権をとるためには、選挙に勝たなければなりません。選挙に勝つためには国民に投票をしてもらわねばならず、国民に投票してもらうためには、国民に、『現政権よりも良くなる』というストーリーを明確に示す必要があります。
国民が、次は別の政権にしようと思って投票したくなるようなストーリーは、小さな野党がそれぞれ単独でやりたいことを言いたい放題言っていても、全体としてまとまって政権運営ができる規模にならないと実現しません。政党が真剣に『政権を取る』と考えているのであれば、自らのストーリーも、国民に選択してもらえるストーリーに書き換えなければなりません。
ストーリーを書き換える優先順位
国民に選挙で選択してもうストーリーに書き換える時、優先順位を明確にする必要があります。まず、政権を取る、現政権に政府から降りてもらう、ということを目標にするなら、現状の野党の状況では、『連立政権』というストーリーを描くしかありません。
政治家が別々の政党にいるということは、意見が一致していないことがあるということなので、一致していない政策をまとめるのは至難の業です。ただ、そこに時間をかけていると、秋の衆議院選挙に間に合いません。間に合わせるためには、『連立政権』というストーリーに合わせて、合意できないものはいったん棚上げ、保留にする必要性が出てくると思います。
ある政党が、現政権を政府から降ろすという目的よりも、自分の個別政策を実現したいという目的の優先順位が高いのであれば、連立政権の政策がその政党の個別政策に合意できない場合はその政党は連立政権に入ることを拒否することになります。
連立政権がその政党が連立に参加しなくても政権を維持できるだけの議席を確保できるのであれば、連立政権のストーリーにはその政党は不要となりますが、現状の野党それぞれの弱体ぶりを見る限り、野党全勢力が集結しないと、『連立政権というストーリー』は実現しない様に見えます。
連立政権での政権奪取を最優先にして、他の政策については、棚上げにする、というストーリーの書き換えは、どうしても必要になってくると思えます。
具体的に次の衆議院選挙に向けて、一部の政党では他の政党とは意を異にしている独自政策については政権公約から格下げさせるとか、ある政党とはやはり連立政権は組めないなど、独自の動きが野党の間で起きてきています。
朝日新聞デジタル 共産「日米安保廃棄」政権公約から除外へ 7/9(金) 18:06配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/f97d12792612b04846a084782e593e79810ca4a0
時事ドットコムニュース 立民・枝野氏「共産と連立考えず」 連合幹部に明言 2021年06月17日18時27分 https://www.jiji.com/jc/article?k=2021061700953&g=pol
失敗がストーリーを書き換える
戦後の日本の政治は、一時期を除いて自由民主党が長きにわたり主導権を握って政権運営をしています。
過去の一時期、何度か自民党が政権を追われましたが、最近では、2009年~2012年までの民主党政権の時がそうでした。
当方は馬の骨、基本は無党派です。是々非々で、良いものは良い、悪いものは悪い、と考えて箱とか看板ではなく、中身を見て自分で考えて、自律思考で信じるストーリーを決めたいと思っています。
2009年民主党政権ができる前、当時の自民党政権を見ていて、当方は本当に嫌気がさしていました。当時の内閣総理大臣は、いわゆる二世議員で基本的に上から目線で、『国民全体の奉仕者』という感覚はみじんも感じられず、『権力への忠誠心』の権化の様に見えました。
(『国民全体の奉仕者』については当方ブログ(6)参照)
漢字も良く読めず、気分次第で適当なことを言っており、自分の国の政権トップをこんな人がやっている国はとても恥ずかしい、と思っていました。そうして出て来た、民主党。彼らの政権奪取に向けた動きには拍手喝采して応援し、民主党政権ができた時には、ようやく新しい政治が日本を明るくしてくれると期待したものです。
ただ、政権を取ってからの民主党の迷走ぶりは、目を覆うばかりのものでした。結果としては、国民の多くが思っている通り、民主党政権は失敗だったなと当方も思っています。
それでは、当方は2009年の選挙の時に民主党を応援したのは、失敗だったのでしょうか。
いいえ、当方は、失敗だったとは思っていません。直前の自民党政権については前述した通り、とても継続して欲しいとは思えないものでしたので、民主党政権は政権としては失敗でしたが、政権交代をさせるという目的は達成されたことから、当方にとっては失敗ではありませんでした。
政党・政権の政策とその政権を担う政治家の理念・信念も、ストーリーです。ストーリーは人が頭で作り出す、作り物。作り物なので、失敗したら、書き換えて良いのです。(『自律思考でストーリーを書き換える』については以下当方ブログ(2)参照)
それでも『選択』できるストーリーが良い
2009年の民主党政権誕生前、当方がこんな人が総理大臣の国はとても恥ずかしいと思っていた自民党の政治家は、現在も財務大臣として自民党内で強力な実権を握っています。
当方は10年前に感じていた嫌悪感がデジャブの様によみがえってきて、次の選挙ではなんとか政権交代をして欲しいと思っている馬の骨の一人です。
2009年の民主党政権は残念ながら失敗しましたが、ストーリーは何度でも書き換えれば良い。政権交代というストーリーを実現させるには、国民に対して現政権以外の『選択肢』を示すことは必要不可欠です。『選択肢』を示すためには、野党は優先順位を政権交代に絞って、ぜひストーリーを書いて欲しいと期待しています。
ただ、前回の民主党の様に失敗するかもしれない、という思いが頭をよぎります。それでは、失敗するかもしれないので、現状のままでいい、と思うのでしょうか。いいえ、当方はやはり現状の政権とは違う選択肢はあって欲しい、そう思っています。選択肢を実現させるには、野党各党は自分のストーリーを書き換えて、国民が失敗してもいいからやらせてみようと思うストーリーが必要です。その為には自らの理念・政策の中には連立政権参加中には封印して棚上げするものが必ずでてきますが、『連立政権参加中は棚上げする』というのも、連立政権を実現するストーリーの一つです。
過去、自民党政権以外で政権に就いた数少ない政党の中には、連立政権に参加する為に大きく自分のストーリーを書き換えることを実行した人達もいます。
産経新聞 村山元首相の憲法ご都合主義 自衛隊は違憲→合憲→違憲状態 2015/10/31 10:08 https://www.sankei.com/article/20151031-N4IQ3UPTZRJTJLA5DKTICIH5L4/
時代は変わるし、人の考えも変わる、それに合わせて政党・政治家も自分のストーリーはどんどん変えていかねばなりません。ある意味政治家はストーリーを描くのが仕事、権力を握るためのストーリーはいかようにも書き換えて行けるとも言えます。来たる秋の衆議院選挙に向けて、特に野党の政治家は、自らのストーリーの大胆な書き換えを実行する時が来ていると言えます。
ユーチューバーのひろゆきさんの情報をネットで見ていたとき、ある対談をしているのを見つけました。それは新型コロナ感染症発生前で、安倍政権がいわゆるモリ・カケ・サクラで国会で野党に攻勢を受けていた時のもので、野党の政治家に対して次の様な発言をしていました。
「国民には安倍政権と野党の政策に大きな違いが感じられない。安倍政権の政策は各論では色々議論はあるけど総論としては国民には大きな反対は受けていない。その中で政権交代をしたいのであれば、政策的には安倍政権と同じことやると宣言した上で、国民をだましたり嘘ついたりする安倍政権ではなく信頼できる人に政権任せた方がいいでしょと、と言えば。そうすれば国民みな、投票すると思いますよ」
当方は思わず、その通り!と叫んでいました。
権力のみに執着し国民を見ない人たちではなく、『国民全体の奉仕者』として国民のことを考えて行動してくれる、そういう信頼のおける人達に日本の運営をしてほしい。そう願っています。
それでは。