=はは~ん、と頷かざるを得ない、安倍政権の変節=
(45)目次 ・洗脳による不当な経済的利益の追求は反社会的ではないのか? ・はは~ん、と頷ける安倍政権による反社会的勢力の定義の後退 ・『人の心に不安感や恐怖感を与える反社会的勢力の不当要求』 ・反社会的勢力の定義を明確に復活させるべき
こんにちは。柳原幸太郎です。
洗脳による不当な経済的利益の追求は反社会的ではないのか?
安倍元総理銃撃事件をきっかけとして、旧統一教会と一部政治家の根深い癒着ぶりがどんどん明らかになってきています。統一教会と言うと、昭和時代に学生時代を送った当方にとっては、条件反射的に拒絶反応が起きます。元トップアイドルの合同結婚式出席の衝撃や、大学キャンパス内で原理研に気をつけろの合言葉が飛び交ったりする、そんな背筋がぞくっとする嫌悪感が、未だに生々しく思い起こされます。
ただ、その後現在に至るまで、当方がこれまで過ごしてきた環境では、幸運なことに、新興宗教系の洗脳トラブルには縁遠い人生を歩んできました。ほぼ忘れていた統一教会の存在ですが、今回の安倍元総理襲撃事件で再び脚光を浴び、当方の知らないところで日本社会に根を張りこれほどまでに拡大を続けていたのかと、改めて愕然とする思いです。
そんな中で、関連のニュースを見ながら、どうしてもおかしい、と思っていることがあります。腰が重かった大手マスコミ含めて最近ようやく具体的な報道が増えてきていますが、過去あれだけ問題になった反社会的な行動をしている集団が、なぜこれまで社会で野放しにされてきたのか、という点です。
そもそも、反社会的勢力については、政府が定義をしていたはずで、旧統一教会の様な異常な経済的利益の追求のために宗教を利用して人を洗脳する行為は、どう考えても反社会的行為に該当するとしか思えません。なぜ、そんな反社会的である行為をしている集団を、政治家も問題として取り上げず、大手マスメディアも一切報じてこなかったのだろう。
そんな疑問があり、反社会的勢力についての定義と、政府の見解を、改めてネットで検索してみました。
はは~ん、と頷ける安倍政権による反社会的勢力の定義の後退
安倍元総理を中心とする清和会メンバーと旧統一教会の癒着ぶりがどんどん明らかになってきていますが、反社会的勢力の定義について調べていたところ、はは~ん、と頷くしかない、安倍政権による、『反社会的勢力の定義の後退』が見て取れることがわかりました。
つまり、第一次安倍政権時代の平成19年6月、問題が大きくなってきている暴力団等反社会勢力による被害の拡大を防ぐため、犯罪対策閣僚会議幹事会申し合わせにて、『企業が反社会勢力による被害を防止するための指針について』を策定、そこで、反社会勢力を、
『暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人』
と定義しています。
その後、第二次安倍政権になって、令和元年11月に菅官房長官が、反社会的勢力の定義は困難、と発言し、その発言について立件民主党議員(当時)だった初鹿明博氏が真意を問いただしたところ、安倍総理大臣(当時)の回答の中に以下のくだりがあります。
『(前略)、、政府としては、「反社会的勢力」については、その形態が多様であり、また、その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることから、あらかじめ限定的、かつ、統一的に定義することは困難であると考えている。(後略)』
ただ、安倍元総理銃撃事件後の旧統一教会と安倍元総理を含む政治家の癒着ぶりの報道が増える中で、上記の通りの安倍政権の動きをみるにつけ、はは~ん、と頷くしかありません。
なぜか。今となって俯瞰してみると、令和元年の菅官房長官(当時)・安倍総理(当時)の発言は、10年以上前の第一次安倍政権で安倍元総理自らが規定した反社会勢力の定義を、10年後の自分の状況にとって都合が悪くなったので、つまり自らを支援する集団が反社会的勢力とされるのは困るので、過去自ら定めた定義を敢えて曖昧に後退させている、そのような動きに見えます。
なんだ、そういうことだったのかと、反社会的勢力についての定義がおかしなことになっている理由が、すっと腹に落ちます。
『人の心に不安感や恐怖感を与える反社会的勢力の不当要求』
平成19年の第一次安倍政権時代に作成された指針においての、反社会的勢力の定義は、シンプルでとてもとても分かりやすいです。
もしそれが厳格に運用されていたならば、旧統一教会がしているような、洗脳という『詐欺的手法による不当な経済的利益の追求』は、反社会的だとして摘発され、ここまで社会に蔓延する前に止めることができたのではないでしょうか。
この時の指針の中に、以下のくだりがあります。ここからは、平成19年段階での第一次安倍政権では、人の不安に付け込んで洗脳していく詐欺的手法は反社会的であると、明確に認識していたことがうかがわれます。
『(前略)反社会的勢力による不当要求は、人の心に不安感や恐怖感を与えるものであり、(後略)』
平成19年のこの指針では主に暴力団対策の色合いが強いですが、暴力団以外の反社会的勢力、反社会的行動をするいかなる集団といえども、例えそれが宗教法人であれ、対象とされるべきです。この指針に出てくる暴力団、という単語を単に、反社会的勢力、あるいは、カルト宗教団体、と読み替えると、
そっくりそのまますっきりと意味の通る文章になります。
この指針の中でとても重要なポイントと思えるのは、『人の心』に言及していることです。人の心を揺さぶり、不安感や恐怖感を与えることと表裏一体なのが、まぎれもない宗教です。反社会的な不当要求が、人の心を利用するものである、すなわち、宗教的な洗脳が不当な経済的利益追求のために利用されるのであれば反社会的である、と明確に、第一次安倍政権は認識していたことがうかがえます。
その後の安倍第一次政権での選挙での大敗からの政権離脱、民主党政権誕生による自民党の下野、その後の民主党政権の自滅から安倍元総理の復権、という流れを通して、過去の反省を踏まえ選挙に勝ち続けるこをと最優先事項とし、その為には手段を選ばず何でも利用する(反社会的宗教勢力であろうが)方針を切り替えた安倍元総理が、過去の第一次安倍政権時代に自らが設定した反社会的勢力の定義が、政権に復帰して権力を維持せねばならない自分にとっては、もはや不都合なものになっているので、その定義をなきものにしようとした、という流れだとすると、とてもとてもわかりやすく、はは~ん、と頷くしかないのです。
上記の第一次・第二次安倍政権の反社会的勢力の定義についての対応の変遷については、法務省・衆議院のHPにて確認することができますので、URL・要旨等を本文末にまとめておきます。
反社会的勢力の定義を明確に復活させるべき
第一次安倍政権が認めていた、『反社会的勢力による不当要求は人の心に不安感や恐怖感を与えるもの』という考え方は、シンプルであり、今でも明確に生きていると言えます。
それを、第二次安倍政権が言うところの、定義するのが困難、である理由がもしあるのであれば、具体的に国民に示すべきです。
第一次安倍政権は、不当な経済的利益追求のために、人の心に不安感や恐怖感を与えて、不当な要求をすることは反社会的行為、と定義していますが、一方で第二次安倍政権は手のひらを返し、これを定義するのが困難、すなわち、人の心に不安感や恐怖感を与えて不当に経済的利益を追求する場合でも、社会的に許容される場合があるという。ただ、もし、
それがあるというなら、具体的な例を示すべきです。
岸田総理は、この例を明確に示すべきです。もし示せないのであれば、あるいは第一次安倍政権と考え方が同じということであれば、反社会的勢力の定義を復活させる、あるいは改めて明確に示すべきです。その上で反社会的勢力に対しては、法的規制も含めて毅然とした対応をすべきです。第二次安倍政権が主張する、『反社会的勢力はその形態が多様であり、また、その時々の社会情勢に応じて変化し得るもの』ということはその通りとも言えますが、仮にそうだとしても、いくら多様で、いくら変化したとしても、『人の心に不安感や恐怖感を与えて不当な経済的利益を要求をするもの』が、社会的に許容される例は、皆目存在し得ないと思っているのは、当方だけでしょうか?
もしあるのなら、ぜひ示していただきたい。
それでは。
<反社会的勢力の定義の変遷>
・企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について 平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申し合わせ (法務省HP) https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji42.html https://www.moj.go.jp/content/000061957.pdf 『暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、、、』 『反社会的勢力による不当要求は、人の心に不安感や恐怖感を与えるものであり、、、』
・令和元年11月29日 初鹿明博議員 提出の質問主意書(衆議院HP) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a200112.htm 『政府は平成十九年、(中略)、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を取りまとめました。 この指針において、「反社会的勢力」とは、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義し、(中略) ところが、菅官房長官は本年十一月二十七日の記者会見の中で、反社会的勢力は様々な場面で使われ、定義は一義的に定まっているわけではないと承知しているとの発言をしました。 この発言を受けて、以下政府の見解を伺います。(後略)』
・令和元年12月10日 安倍総理⇒衆議院議長 大島理森 宛て 初鹿明博君提出 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b200112.htm 『(前略)政府としては、「反社会的勢力」については、その形態が多様であり、また、その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることから、あらかじめ限定的、かつ、統一的に定義することは困難であると考えている。(中略) なお、御指摘の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成十九年六月十九日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)は、暴力団の不透明化や資金獲得活動の巧妙化が進む中で、(後略) 』
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