「構造分析(4)資産の連鎖と変容(改訂版)」を投稿したあと、また新たな気づきがあり、これまでの投稿内容や構成を見直す必要に迫られ、試行錯誤を重ねていました。そうしているうちに、気づけば2か月が過ぎていました。
これまでの連続投稿を振り返り、あらたな視点も加えながら、全体をどのように再構成していくかを再考した結果、ひとつ明確に確信できたのは、今後も同様に新たな視点を見つけるたびに、理論構成の調整をしながら進めねばならないだろう、ということです。
その前提から、これまでのように「連続投稿として読み物としてつながるシリーズ」という形式を改め、今後は全体を俯瞰できる「地図」を描き、その上にモジュールとして論考をアジャイルに配置していく方式へと切り替えることにしました。
すなわち、各稿を独立した理論モジュール(node)として整理し、それらを上位の俯瞰図(Atlas)上で相互にリンクさせる構想です。Atlas は固定的な目次ではなく、理論の進化とともに形を変える「成長する構造地図」として扱います。
これにより、一つの視点から理論全体を俯瞰し、また関心に応じて任意のモジュールに直接アクセスできるようになります。
以下にその Structure Atlas(構造俯瞰図)を掲載します。そこにこれまでの投稿を示すと同時に、今後も個別の解説・論考記事を投稿していきながらそれらをひとつひとつモジュールとしてはめていき、俯瞰図を一望することで、全体のストーリーが直観でき、関心のあるモジュールはドリルダウンして深堀りできる、そんな形を目指して進めていきます。
Structure Atlas(構造俯瞰図)
🧭 概要(Overview)
本Atlasは、BSの視点から世界の構造を俯瞰するための知的地図であり、理論の各ノード(投稿)を相互に結びつける中枢として機能します。全体構造の説明・理論の位置づけ(後日追記予定)。
🩶 第Ⅰ部 BS視点の導入(Introducing the BS Perspective)
筆者が気づいた世界の見方を変える「三つの視点」、それは「虚構」「対象領域」「関係」。一方、現在の経済・財政・金融理論、そして企業経営の現場で使われているバランスシート(BS)には、「二極構造」「二層構造」という特徴がある。
これら、「三つの視点」と「BS」の「二極構造」「二層構造」を組み合わせると、世界のうごきを読み解く切り口としての「BS三層フレームワーク」が浮かび上がる。BS三層フレームワークを適用することで、世界の事象を改めて読み解いていく。最初のターゲットは「資産」、そして「貨幣」。
🩶 第Ⅱ部 資産の本質(The Nature of Assets)
「BS三層フレーム」で最初に読み解くのは「貨幣」だが、貨幣を考察する前にまず貨幣を取り巻くすべて、つまり「資産」について俯瞰してみる。
資産はどのように誕生するのか(資産の生成)。生成された資産はどのように変動し、どのような構造を持つのか(資産の変動)。資産が変動するなかで、「剰余」はどのように生まれるのか・剰余とは何か(剰余の出現)。資産は剰余生成を経て、あるいは剰余生成のためにどのように連鎖し変容するのか(資産の連鎖と変容)。究極的に、資産の構造・変動の中に現れる剰余の本質とは何なのか(剰余の本質)。
1.資産の生成
2.資産の変動
3.剰余の出現
4.資産の連鎖と変容
5.剰余の本質(近日公開予定)
🩶 第Ⅲ部 貨幣の本質(The Nature of Money)
貨幣とは何か。貨幣はどこから来て、どのように循環し、なぜなくならないのか。貨幣は本当に「剰余」なのか、それとも単に剰余を測っているだけなのか。貨幣は誰が・どのようなプロセスで生み出し、回収し、正当化しているのか。
以下は今後の予定構成である。
1.貨幣の大循環構造:発行→供給→流通→回収
2.貨幣発行の類型
3.貨幣供給の類型
4.貨幣流通と貨幣増殖:そのお金、発行?供給?流通?増殖?
5.貨幣回収と税金の意味
6.貨幣の本質:貨幣は剰余か?
7.貨幣の源泉と政府財源
8.財政規律と財政危機:貨幣は財政危機を生むのか?救うのか?
※近日公開予定
🩶 第Ⅳ部 以降
「BSから見えるーー」シリーズ:今後、BS三層フレームを足場として、経済・社会・思想・権力・テクノロジーといったテーマを横断的に眺めていく予定。
🩶 Annex/補遺・補足・用語解説
本文では前提として扱っている基礎的な考え方・用語・構造のまとめ。
- 用語集
- 対生成
- 資産変動4象限・7類型/資産類型
- 知的創出(虚構創出)
- 相発
- など
おわりに
この Structure Atlas(構造俯瞰図)は、従来のように順番に読むシリーズではありません。全体を俯瞰するための「地図」であり、そこから好きな地点を選んで降りていくための入り口です。
今後はこの俯瞰図を更新しながら、個別の論考や解説記事をモジュールとして追加していきます。理論は固定された完成形ではなく、生成し続けるものとして扱います。そして、そのプロセス全体を、地図として共有していきます。

