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馬の骨でも考える/Even a Nobody Thinks…

『ブルシット・ジョブ』化している国家運営

Posted on 2021-08-312021-08-31

=『取り巻き』『欺き』『尻拭い』を脱すべき政治家・官僚=

<(25)目次> 

・ ブルシット・ジョブが溢れる世界 
・ 働く意味は人それぞれ 
・ 国家公務員の職務がブルシット・ジョブ化している 
・ 国家運営をブルシット・ジョブ化しない政治家が必要

こんにちは。柳原孝太郎です。

日経新聞8月30日朝刊の「核心」にデヴィット・グレーバー氏の著作「ブルシット・ジョブ―クソどうでもいい仕事の理論」に関する記事がありました。

日経新聞[有料会員限定] 
核心「どうでもいい仕事」の放逐を 上級論説委員 西條都夫 2021.8.30 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210830&ng=DGKKZO75203040X20C21A8TCS000

この記事は有料会員限定なので日経新聞購読者のみ読むことができますが、記事を読んで少し考えるところがありましたので、今日は「ブルシット・ジョブ」について日本の状況を俯瞰してみます。

ブルシットジョブが溢れる世界

日経の記事はグレーバー氏の著作で述べられているブルシット・ジョブが働く人に及ぼす弊害、つまり現代の仕事の半分は無意味で不必要で有害であり、働く人自身が自分で意味が無いと感じる仕事を強いられることからみじめな気持ちになり苦しめられ、精神的暴力を受けていることを紹介し、日本の労働環境も同様であると指摘した上で、日本の企業課題として取り上げられている働き方改革の本丸はまさにブルシット・ジョブの排除である、と論じています。日経新聞独自の視点で日本の企業現場に焦点を当て、グレーバー氏の指摘する状況が日本の企業で起こっていること、そして企業が対応に迫られている様が書かれています。日本の企業現場にいる人、あるいは過去いた経験のある人は誰でも、グレーバー氏の著作とこの日経記事が指摘するポイントには頷く点が多いのではないでしょうか。当方も過去の会社員時代の働く現場で、まるで魂の抜けたゾンビのような顔つきで淀んだ目の色をした人の群れを良く見かけ、人のふり見て我がふり直せ、自分もそんな状態になっているのかとはっとすることがよくありました。ふと、自分は何をしているのだろう、と考えるのですが、多忙を極める働く現場では、あっという間に目の前の現実に引き戻され時間に追われていく、誰しもそんな感じで働いているのではという気がしています。

働く意味は人それぞれ 

人は皆、何のために働いているのでしょうか?

上記日経記事では、働く人の意識を国際比較した結果も記載されていますが、日本は「社員の熱意」では139か国中132位、「仕事を面白いと思うか」では31か国中男性が30位、女性が29位という惨憺たる状況なのだそうです。日本人がいかに「イヤイヤ」働いているか、ということが見て取れます。

イヤイヤ働いているということは、できれば他の仕事がしたい、あるいは働きたくない、ということです。ならば嫌な仕事をなぜするのかというと、結局生活の為、あるいは世間体を気にしてということに帰結していきます。ただ、何がやりたいのか、やりたくないのかは十人十色、また働き方に重大な影響を及ぼす家計を含めた家族状況、生活環境は人それぞれとも言えます。

働く意味は、それぞれの働く人がおかれた環境の中でその人が自分の価値観からどういう人生のストーリーを書いていくか、によっても違います。

人は誰でも、自分の好きなことを仕事にできたらどれだけ精神的に充実した日々を過ごせるでしょう。ただ、日本人のほとんどはイヤイヤ働いているのが現実、つまり自分の生活や社会的体裁の為に、やりたくないことを仕事として日々生きているということになります。

そんなイヤイヤ働く人が溢れる社会の課題としてメンタルヘルスの問題がクローズアップされてずいぶんと立ちますが、根本的な状況改善はなかなか見えてきません。なぜ状況改善がされないのだろうと考える時、ブルシット・ジョブの議論は我々の社会が抱える根本的な問題を浮かび上がらせてくれるように見えます。この視点は我々の働き方を見直すきっかけを与えてくれるように思えますが、更にその考えを深めていくと、自分が生きる目的は何かという根本的なことに思いが及ぶ人も少なくないのでしょう。

国家公務員の職務がブルシット・ジョブ化している

グレーバー氏は著作の中で、ブルシット・ジョブの類型を以下の5つとしています。

① 誰かを偉そうにみせるための取り巻き(ドアマン、受付係等)
② 雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋(ロビイスト、顧問弁護士等)
③ 誰かの欠陥を取り繕う尻拭い(バグだらけのコードを修復するプログラマー等) 
④ 誰も真剣に読まない書類を作成し続ける書類穴埋め人(パワポ作りのコンサルタント等)
⑤ 人に仕事を割り振るだけのタスクマスター(中間管理職党)

もちろん、人によって価値観は様々ですから、上記に該当する仕事でも、自ら本能の叫びとしてやりたいと思ってやっている人にとっては、ブルシット・ジョブにはなりません。ただ、当方の価値観では、グレーバー氏の指摘はほぼ納得感があり、世の中はブルシット・ジョブに溢れている様に見えます。

一方、このブルシット・ジョブの類型を眺めていて、おやっ? と思ったことがありました。そう、国家公務員の仕事です。

国家公務員は、憲法・国家公務員倫理法に規定されている『国民全体の奉仕者』としての使命があり、難関の国家公務員試験をパスしたごく限られたエリートだけがなることができる、正にブルシット・ジョブとは一番遠い、やりがいのある仕事に見えます。ただ、そんな国家公務員が見せる行動が、どうも『国民全体の奉仕者』としての誇りと自覚を感じられない様になっていることについては、当方は過去のブログで書きました(↓)。

https://office-bev.com/2021/07/02/6-servethepeople/

記憶に新しい、「森友問題」に関する財務省の公文書改ざん事件。一連の財務省が組織ぐるみでしてきたことを上記のグレーバー氏のブルシット・ジョブの5類型に照らして見ると、驚くほどの共通性が見て取れます。

① 誰かを偉そうに見せるための取り巻き

⇒ 安倍元総理夫人が森友学園に関与することは本来財務省がするべき国民全体の奉仕者の業務とは何ら関係ありません。にも拘わらず、過去、安倍夫人の名前が出ていた公文書を安倍夫人が当時の総理婦人(偉い人)であると忖度して、やらなくても良い、やってはいけない公文書の改ざんを組織ぐるみで実行している。

② 雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋

⇒ 財務省職員にとっては内閣人事局で人事権を握る雇用主である総理大臣のために、国民を欺く公文書改ざんを組織ぐるみで実行している。

③ 誰かの欠陥を取り繕う尻拭い

⇒ 安倍元総理夫妻の失敗を隠して取り繕うために、公文書改ざんを組織ぐるみで実行している。

どうでしょう?どう考えても、森友問題に関わる財務省の公文書改ざんはグレーバー氏の指摘するブルシット・ジョブに該当する様にしか見えません。グレーバー氏は更にブルシット・ジョブはそれを実行する人を苦しめる精神的暴力だとも指摘していますが、大変残念ながら、財務省近畿財務局の赤木俊夫さんはその精神的暴力の犠牲者となってしまいました。

ブルシット・ジョブの定義は、「本人でさえ正当化できないくらい完全に無意味・不必要で有害でもある有償の雇用の形態であるが、本人はそうではないと取り繕わなければならないように感じている仕事」とのことですが、正に無意味・不必要・有害であるのにそれを取り繕わなければならない業務である公文書の改ざんという行為を自らが強いられていることに、赤木さんが精神的に大変苦しめられていたのは想像に難くありません。

ただ、それを実行する人がどう感じるかによってはその仕事はその人にとってはブルシット・ジョブではなく何ら苦痛を感じないということになります。もし赤木さん以外の財務省職員が改ざんを実行することが自らの出世を実現する目的の為に必要だと感じてその有害性を全く疑問を持たずに実行していたのであれば、その人にとっては改ざんはブルシット・ジョブではありません。

赤木さんなど心ある官僚にとってはブルシットにしか思えないことでも、何ら心の負担を感じること無くいとも簡単に実行できる人が存在するということになってしまいます。

ただ、そんな人は国家公務員の仕事をして良いのでしょうか?憲法、国家公務員倫理規程で定められている、『国民全体の奉仕者』としての使命をみじんも感じない人は、法律で定める資格要件を満たしていない人達ですから、直ぐに国家公務員は辞めて欲しいと思います。

国家運営をブルシット・ジョブ化しない政治家が必要

財務省に限らず他国家公務員も全て、国家公務員の本来の使命を忘れてブルシット・ジョブ化しないようにするには、国家公務員の人事権を内閣人事局で握っている政府・政治家の役割も非常に重要です。

ただ、その政府・政治家を俯瞰して見た場合、大変残念ながら、上記の財務省の公文書改ざんがブルシット・ジョブの要件に該当する様に、政治家がしていることもブルシット・ジョブ化しているのではと思うのは、当方だけでは無いと思います。

「誰かを偉そうに見せるための取り巻き」

「雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋」

「誰かの欠陥を取り繕う尻拭い」

など、改めてブルシット・ジョブの5類型を読んでみてください。これ、政治家とその周辺の取り巻き、まさにそのものでは無いのか、と思えませんか。

デヴィット・グレーバー氏が指摘したブルシット・ジョブの見方は、人が働く上での精神衛生、人として生きる意味を考えるにあたり非常に有益な視点を与えてくれると思います。ただこの視点を俯瞰して見えて来たのは、本来ブルシット・ジョブとは一番遠い位置にいると思われる人たち、崇高でやりがいが高い仕事をしていると思われるはずの政治家・国家公務員が現在行っていることが、本来の姿とはほど遠い無意味で不必要で有害なこと、ブルシット・ジョブ化していないか、という今の日本の社会の姿です。

人間が人間らしく現代を生きて行くための理想形として脱していくべきブルシット・ジョブという議論を通じて、実は理想形を生きていなければいけない政治家・国家公務員の方がブルシット・ジョブ化している様が見えて来るのは皮肉なものです。

我々国民は、自分たちが生きている国を運営している政治家・国家公務員にいわば自分たちの人生を預けているとも言えます。自分たちが暮らしている日本が、生き生きと溌溂として人間らしく働いて暮らしていける国になって欲しい。そんな国を目指して国家運営をしていく当事者が、自分たちの利権しか見ないブルシット・ジョブに終始していては話になりません。

冒頭の日経新聞では、企業が従業員の働き方改革を考えるときブルシット・ジョブを如何に減らすかが本丸だ、と述べていますが、それは企業が存在し国民が暮らす社会・国家が仕組みとして取り組まなければならない課題とも言えるでしょう。

国民がブルシットな状態でなく人間らしく生きていける社会になるために、まずは政治家・国家公務員が自分の利権だけを考えて行動するブルシットな状態から脱して、国民全体の奉仕者としての使命感を取り戻すことが必要と思えます。

国内では新型コロナ感染症対策が続いていますが、海外に目を転じると、アフガニスタン情勢の悪化が風雲急を告げており、国民の奉仕者である外務省・現地日本大使館の行動にも焦点が当たっています。他国に比して明らかに出遅れていると見える日本は、外務大臣・外務省は何をしていたのでしょうか?

国内外で問題山積の日本、待ったなしです。次の衆議院選挙が近いですが、馬の骨の当方にできることは、たかが一票を投じることだけですが、されど貴重な一票です。正直現在の日本の状況をブルシットだと思っているのは当方だけではないはずです、そんなブルシットな状況を立て直してくれる政治家を探して、渾身の一票を投じたいと思います。

それでは。

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