BSから見える『お金のしくみ』
★Ⅰ.馬の骨でもわかる『BSのしくみ』
【3】資産増減の類型
3.自己フロー投入 <★★★今回はココ★★★>
★Ⅱ.馬の骨でもわかる『お金のしくみ』
★Ⅲ.BSから見える『財政破綻とは何か?』
★Ⅳ.BSから見える『成長とは何か?』
今回は、資産の増減が<ストック/フロー> X <単体/相対> の組み合わせで類型化ができる、という話の3回目です。
❶ ストック X 単体 【ストック自己増減】
❷ ストック X 相対 【ストック間移動】
❸ フロー X 単体 【自己フロー投入】
❹ フロー X 相対 【外部フロー投入】
のうち、今回は、
❸ フロー X 単体 【自己フロー投入】
について説明します。
★ 自己フローと外部フロー
これまで2回は、ストックが、フローに投入されずに、瞬間的に移動/入れ替わる類型を見て来ましたが、今回からは、ストックがフローに投入されて、一定期間フローで回転した後、ストックに戻って資産が増減するケースを見てみることにします。
資産のフロー投入を考える場合、以下の二つのケースに大別されます。
① 資産を自己フロー(自分の資産内部で回転しているフロー)に投入する
② 資産を外部フロー(自らではなく他者の資産/フロー)に投入する
それぞれについて、具体的に見てみます。
❶自己フローへの資産投入イメージ
自らの資産/ストックを自らの資産内に存在するフローに投入するとは、具体的には、以下の様なケースが挙げられます。
○ 消費フロー :
・ 自らが持っている食料を摂取し、体内で消化・消費し、体力・生命力を回復する
(これらを資産回収と捉えます)。
・ 自らの資金を娯楽・趣味に投入して、疲れをいやす、活力を取り戻す
(これらを資産回復・資産回収と捉えます)。
○ 事業フロー:
・ 自ら手当して保有している原資材・労働力(資産)を、自らが手当した生産設備に投入して
製品を生産するなど、事業投資をすることで、事業収益を獲得する。
・ 自らの資金を勉学・自己研鑽に投入する、あるいは法人としての企業が自らの資金を
研究開発に投じる等を通じて、新たな知識・新たな経験値・新技術等を獲得する
(これらを資産回収と捉えます)。自らの価値を高める事業と捉え、これも
事業フローに含めます。
❷外部フローへの資産投入イメージ
自らの資産/ストックを外部フローに投入するとは、具体的には以下の様なケースが挙げられます。
○ 貸借フロー
・ 自らの資産を他者に貸与し、他者が他者の自己フロー/外部フローで資産運用した後、
他者から元本資産の返却/返済/返還を受けると同時に、貸与に関わる手数料
(賃貸料・金利等)の支払いを受ける。
つまり、自らの資産を他者のフローに投入し、回収する。
○ 投資フロー
・ 自らの資産を他者に投資し、他者が他者の自己フロー/外部フローで資産運用した後、
投資資産を売却して資本利得を得る、あるいは、他者から投資資産に対する投資収益
(配当・利益分配金等のリターン)を得る。
つまり、自らの資産を他者のフローに投入し、回収する。
Ⅰ.【3】3.自己フロー投入
フロー投入の2類型、自己フロー投入と外部フロー投入のうち、今回は、自己フロー投入について具体的に見てみます。
<⑤ー消費投入/⑤+消費回収>
自己フロー投入には類型が二つあることを上記で確認しました。一つ目は、消費フロー投入<消費投入/消費回収>です。消費と言うと、食料消費・医薬品摂取の様な「人間の生命活動の維持」の為のものがまず最初に思い浮かびますが、他にも、旅行・レジャーや趣味への出費、家電製品の購入の様な「生活の質と快適さの向上」の為の消費があります。まず、一般的な「食料消費」を前提に、以下で見てみます。
自分の資産(食料)を、自分の中にある(自分の資産内の)フローに投入し(生命活動における代謝を促進し)、資産(生命力・労働力)を回復・回収する、という循環です。
医薬品の場合も、
「医薬品摂取(資産投入)⇒生命力維持(資産回収/資産回復)」
という同様の形になります。
また「生活の質と快適さの向上」についても、例えば、趣味への投資、旅行への出費の場合は、
「資金投入(旅費支払)⇒新たな経験値・思い出の獲得(資産獲得)」
という同様に形になります。
消費フロー<消費投入/消費回収>における、資産の増減を見てみます。
・資産減少の類型:⑤-消費投入(資産を消費フローに投入/ストックからフローに移動する)
・資産増加の類型:⑤+消費回収(資産をフローから回収/フローからストックに戻る)
<⑥-事業投入/⑥+事業回収>
自己フロー投入の二つ目の類型が、事業フロー投入<事業投入/事業回収>です。
典型的な動きは、製造業における企業活動で見ることができます。
製造会社は、自社が保有している原資材を生産ラインに投入し(資産投入、事業投入)、製造フローを回し製品を製造し、それを販売することで、製造事業としての事業収益を獲得します。
「原資材・労働力の生産ライン投入(資産投入)⇒製品生産・販売による収益獲得(事業収益獲得)」
という循環です。法人としての企業の自社内部にある原資材・生産ライン・労働力等の資産を自社内部のフローに投入して循環させることで、新たな資産を創出(資産を獲得)しています。自己資産内部への資産投入・資産回収と捉えられるため、自己フロー投入の類型と考えます。
また、別のケースとして、企業の研究開発、個人の自己研鑽の為の自己投資も、この事業フローとしてとらえることにします。
「研究開発費・学費の出費(資産投入)⇒新知識・新技術の開発・獲得(資産回収)」
という、同様の自己フロー投入の形になります。
事業フロー<事業投入/事業回収>における、資産の増減を見てみます。
・資産減少の類型:⑥-事業投入(資産を事業フローに投入/ストックからフローに移動する)
・資産増加の類型:⑥+事業回収(資産をフローから回収/フローからストックに戻る)
まとめ
今回は、自己フロー投入における資産増減の類型を見てきました。整理しておきます。
★資産を消費フロー(自己フロー)に投入/回収する <⑤-消費投入/⑤+消費回収>
★資産を事業フロー(自己フロー)に投入/回収する <⑥-事業投入/⑥+事業回収>
今回は以上です。次回は、「フロー X 相対【外部フロー投入】」について見てみることにします。
それでは。